池の底から金閣寺が浮いてきて、鼻水が伸びて月まで行くという記憶を未知の勢力に植え付けられています
あ、待って閉じないで。ちょっとだけ事情を聞いてほしい。
本を読まなくなって久しい。高校時代までは授業中にスマホをいじるのは流石にヤバかったから、電子辞書に入ってた青空文庫で日本文学を読んだりしていたが、今になってしまえばそんな制約もない。青空文庫じゃなくて現代の小説は何年間読んでないだろうか。というかそもそも140文字以上のまとまった文章を読んでない気がする。
昔は本が好きだった。小学生の頃なんか、年100冊ペースで小説を読んでたんじゃないだろうか。その頃の自分はスマホなんて当然持ってなかったから、本*1くらいしか娯楽がなかったんだろう。あの頃の、穢れのない自分が恋しい。ただ10年も前のことになると、どんな本を読んでたのかは全く思い出せない。人間の記憶ってそんなもんか。
星新一のショートショートとか東野圭吾のミステリー、重松清の少年野球がどうとかいう本を読んだことはぼんやりと覚えているけど、それ以上思い出そうとすると思考に変なノイズが入る。タイトルの通り、「池の底から金閣寺が浮いてきて、鼻水が伸びて月まで行く」本があったような気がして仕方ないのだ。
もっと詳しく言うと、
・たぶんSF
・地元の悪ガキが数十年前に池に金閣を沈め、その起動スイッチを電柱の一番上に取り付ける
・それを起動すると金閣寺が池の底から浮いてくる
・金閣寺の中に入ると、天井には星空が広がっている
・ある一地点に立つと天井の星から汽車が走ってきて出られる
という趣旨。自分で書いていてもマジで意味がわからないが、僕の中の小学生は「これを読んだ」と力説している。金閣を沈めるって何なんだ。冗談じゃない。こんな小説あってたまるか、と思いながらも内なる小学生は更にこんなあらすじの断片を語る。ちなみに内なる小学生はクラスで一番スマブラが強い。ただし街一番とかでは決してない。あくまでそのくらいのスケール感の人生である。
・上記のイベントを経て、主人公とその友達は鼻水が無限に伸びる力を得る
・鼻水を伸ばして月まで行こうとする(動機は不明)が、鼻水が足りないのでホースで水を飲みながら鼻水を伸ばす
・ずっとヘルメットをかぶっていた村長の娘が、実はウサギ型宇宙人だった
以上である。ずっと脳内にこんな詳細不明の記憶がこびりついている側の気持ちになってほしい。迷惑しています。
どうにかこの記憶の正体を明らかにしたいので、ダメ元でググってみる。
三島由紀夫の金閣寺が出てきた。鼻水を無視するとはいい度胸だな
他にも「金閣 鼻水」や「児童SF 鼻水」で検索をかけてみても一向にヒットせず。やっぱり記憶は捏造なのか…?
良さげな掲示板を見つけたが…
この有様。もう30分くらい探してる気がする。
そういえば、あの頃の自分って新しい
ことが大好きだったんだな。小説も映画も「なんか疲れる」っつって敬遠してる今の自分は、小学生時代の僕が羨ましいのかもしれない……
小学生の頃の自分に思いを馳せながらGoogleと格闘することおよそ1時間…
ついに
見つけた!!!!!!!!!!*2
タイトルは『夏休みは、銀河!』。うさぎ星人じゃなくてパンダだったらしい。
少々時間がかかったものの、案外あっさり決着がついてしまった。こんなもんか。
とはいえ本の名前がわかればやることは1つ。
今度図書館行こう。