ウミガメのスープはランダム生成してもそれなりに遊べることがわかりました
「ウミガメのスープ」が今、楽しい。
面白みのないストーリーで、どこにでもいるような魅力の薄い登場人物が、普段誰もが過ごしているような日常を送るだけの、無名の小説家による小説。
そんな何の変哲もない小説が、何の変哲もないために売れまくっているという。
どういうことだろう?*1
こういった一見説明のつかない状況に対して、プレイヤーははい/いいえで答えられる質問を投げかけ、出題者がそれに答える。この質疑応答を繰り返して、真相に近づいていくゲームだ。
たとえばこの問題なら、
Q.日記や自伝小説のようなジャンルですか?
→いいえ!
Q.現代日本の話ですか?
→はい!
Q.買っている人達は、読む用途が目的で買っているのですか?
→はい!
Q.結果、無名な小説家は儲かりましたか?
→いいえ!
Q.その小説家は、死後に評価されましたか?
→はい!
Q.小説を買っている人々にとって、小説の内容はなんの変哲もない日常ですか?
→はい!
Q.未来予知が関係しますか?
→はい!
…このように、つながりがあるように見えない2つのできごとを推理を使ってつなげていく。これが「ウミガメのスープ」の基本的なルールだ。
今の問題であれば、隠されていた真実は
「過去に出版されたSF小説が、なんの変哲もないと感じるほどに正確に現代の生活を描いていたため、予言の書として有名になった」というもの。この答えを見てから問題を見直すと、問題が全く違って見えてくるのではないだろうか。
こういうゲームは「水平思考ゲーム」とも呼ばれている(こっちの名前のほうが有名かもしれない)。買い切りのゲームやサイトもあるにはあるが、誰も知らない問題を探してくるのは結構な手間だ。
頭を使うゲームが好きなので、僕は考えた末、こう思った。
「 ウミガメのスープ、もっとやりて~~~~~~~」
と。
そして、問題をその場で作ってその場で解けばいいのでは????という発想に至った。いわば「無限スープ」である。
<無限スープの作り方>
ふたりが問題文の前半と後半をそれぞれ同時に発表する普通のウミガメのスープと同じように進行されるが、
質問のたびにダイスを振り
偶数→YES
奇数→NO
とし、最終解答もこのルールにしたがう
たとえば、
前半「男が忘れ物をした。」
後半「翌日、世界の株価が暴落した。」
になったなら、
「男は忘れ物をした。翌日、世界の株価が暴落した。何故だろうか。」という問題が完成する。
その場で適当に考えた例なのに、なんとなく正解がありそうな感じを察してもらえるだろうか。
脈絡がないのがウミガメのスープの問題文の特徴なので、適当に文章をつないだら逆にそれっぽく見えちゃうし、なんか挑戦したくなるような雰囲気が出る。
この手法なら、ウミガメのスープを無限に作り出すことができる!スープが無限なのはこれを除くとガストのドリンクバーの横にあるたまごスープしかないので非常に貴重だ。
さて、ランダムに作った問題文に答えなどあるはずもないので、出題者の役割はサイコロに担ってもらうことにした。質問をしたらふつうの6面ダイスを1個振って、偶数なら「はい」奇数なら「いいえ」にしよう。ウミガメ好きたちの頭脳をもってすれば、正解がなくてもなんとなく合ってそうな答えに辿り着けるだろう。多分。
最終回答の判定もダイスに任せることにした。こっちもサイコロを振って偶数なら正解。奇数が出ちゃったら間違いなので、別の答えを考えなければいけない。
適当に答えを言いまくれば当たっちゃう脆弱性はあるけど、そこは雰囲気でなんとかする所存です。
さっそく、友人たち()
を集め、自分()
を加えた5人で
試しに遊んでみることにした。改めて、ルールは以下の通り。
①ふたりが問題文の前半と後半をそれぞれ同時に発表する
②「ウミガメのスープ」同様、Yes/Noで答えられる質問をする③サイコロを振って、偶数なら「はい」奇数なら「いいえ」が答えになる
④そして②と③を繰り返し、正解っぽいストーリーができたら最終回答をする
⑤またサイコロを振って、偶数なら正解!奇数なら間違いとなり②に戻る
最初の問題文は、前半を、後半をが担当することになった。
問題準備お願いします!せーのっ
前半:「大雨が急に降った」
後半:「桶屋が儲かった」
→「大雨が急に降った。その結果、桶屋が儲かった。どういうことだろう?」
えっちゃんとウミガメのスープしてるじゃん!
桶屋がどうして儲かったのかを突き止めたいね
Q.桶屋が儲かったのは、桶がたくさん売れたからですか?
コロコロ…「いいえ!」
桶が売れた以外の理由で儲かったんだ
Q.桶屋は2019年現在生存していますか?
コロコロ…「いいえ!」
なんとなく江戸時代っぽいよね
確かに、現代で桶屋って聞いたことないし
Q.桶屋は犯罪に手を染めていましたか?
コロコロ…「はい!」
Q.桶屋は大雨の影響で犯罪を実行しましたか?
コロコロ…「はい!」
なるほど、大雨のおかげで犯罪に成功して儲かったってことだ
大筋が見えてきたし、犯罪の種類を細かく調べていこうかな
Q.桶屋は人を殺しましたか?
コロコロ…「はい!」
Q.桶屋は犯罪を日常的に行っていましたか?
コロコロ…「はい!」
Q.桶屋は世のために犯罪を犯しましたか?
コロコロ…「いいえ!」
Q.桶屋は殺人のために儲けを得ましたか?
コロコロ…「はい!」
Q.桶屋は金を渡されて殺人を請け負いましたか?
コロコロ…「はい!」
桶屋は殺し屋もやってるってことか!これは大ヒントだぞ
適当にダイス振ってるだけなのに完全にウミガメやってる気分になってきちゃった
殺し屋ですかって質問して確かめとく?
やめとこう、万が一いいえが出たら完全に詰むから
…「無限スープ」はこんな感じで進んでいく。
今の所の情報は、
・桶屋は殺人を金で請け負った
・大雨が降った影響で、桶屋は人を殺した
・世のために行った殺人ではない
万が一回答が矛盾しようものなら完全に”終わる”ので、微妙に注意を払いながら質問をつづけていく。
Q.桶屋はやむを得ず犯罪を起こしていましたか?
→いいえ!
Q.大雨が降ったことが桶屋の殺人の動機になりましたか?
→はい!
Q.桶屋に殺人を依頼したのは被害者自身ですか?
→はい!
え!?
は!?
被害者自身が殺人を依頼した!?
被害者が雨のせいで大損をして、その結果殺人を依頼したってことかな?
なるほど、それなら被害者は雨に関係ありそうな職業だ
適当にサイコロで答え決めてるとは思えない急展開ぶりに驚きを隠せない…
Q.被害者は花火職人でしたか?
→いいえ!
Q.被害者は漁師でしたか?
→はい!
大雨が降って、漁師が自分を殺させるほど苦しんだ、ということは…?
よし大体わかったぞ、最終回答します!
どうぞ!
A.「ある漁師の船が大雨のせいで沈没してしまった。仕事道具のすべてを失い生きる希望をなくした漁師は、自らに保険をかけたのち、残された僅かな財産を報酬にして事故死に見せかけた他殺を桶屋に依頼した」!
コロコロ…「はい!」
やったーーー!!
桶屋は裏稼業で殺し屋もやってたってことなんだな
適当に決めてるのにすごく納得しちゃった
「その目は…桶は桶でも、棺桶がほしいのかい?」ってね
え?
ランダムに持ち寄った文章とサイコロだけで、こんなにちゃんとした(?)ウミガメのスープができてしまった。
Q.「大雨が急に降った。その結果、桶屋が儲かった。どういうことだろう?」
A.ある漁師の船が大雨のせいで沈没してしまった。仕事道具のすべてを失い生きる希望をなくした漁師は、自らに保険をかけたのち、残された僅かな財産を報酬にして事故死に見せかけた他殺を桶屋に依頼した
「無限スープ」を使えば、サイコロやダイスアプリなどを使うだけで、誰でも簡単にしっかりしたウミガメのスープを遊ぶことができる。通話でもできるので、在宅の時間が増えた方もぜひ遊んでみてはいかがだろうか。
僕たちは楽しかったのでもう一戦やることにした。
問題文出そう!せーの
『除夜の鐘が鳴った』
『そして世界は音楽に満ちた』
→「除夜の鐘が鳴った。そして世界は音楽に満ちた。いったい何故だろうか?」
Q.大晦日のファンキー寺で除夜の鐘REMIX~ゆくBEATくるBEAT~が開催されましたか?
コロコロ…「はい!」
答え:大晦日のファンキー寺で除夜の鐘REMIX~ゆくBEATくるBEAT~が開催された
何???????
何???????
何????????????
<2021年5月 追記>
なんと、この無限スープ(無限ウミガメ)がアナログゲームになりました!!
『ドロッセルマイヤーさんのなぜなぜ?気分』というタイトルで、問題文の前半と後半がたくさん載った単語帳サイズのゲームです!
最初から問題文のパーツが準備されているので「お題を考えるのが苦手」という方でも楽しめますし、片方だけ自分でお題を考えるのも面白いと思います。リンク先のnoteから通販リンクに飛べたり、全国のボードゲームショップでも販売されているようなのでぜひ買ってみてください!
*1:出典元:「ウミガメのスープ 本家『ラテシン』」http://sui-hei.net/
問題制作:とかげ様
http://sui-hei.net/mondai/show/15428