開け閉め

力強く閉めると反動で数センチ開く

きえちゃうキャンディー

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 きえちゃうキャンディー。なめると色が変わって、何色に変化したかで運勢を占うことができる。小学生時代によく買って、数分おきに鏡に向かって色の変化を確認していた思い出がある。これがそもそも友達と見せあって色を確認するものだという事実に気づいたのはつい先週のことだ。そんな友達いなかったからわからなかった。受験勉強を経て、我ながら賢くなったものである。

 何故先週気づいたかといえば当然先週コイツを買って来たからで、スーパーで見つけたからなんとなくで手にとった。ノスタルジーを抱えながら袋を眺めると、裏に占いの詳細が書いてあるのを見つけた。

☆なめるとかわる色で占おう☆

むらさき色のキャンディーは色がかわるヨ!

みどりにかわる?きいろにかわる?とうめいにかわる?)

はじめからみどり色のキャンディーは色がかわらないのだ!  (ちょっぴりアンラッキー)

みどりを引かないように祈りながら、袋を開けて個包装を取り出す。占いとやらが書いてある。

☆なめるとかわるあめの色で占おう!☆

ペットをかうなら?

むらさきとうめい ゴージャスなペルシャ

むらさききいろ    強そうなドーベルマン

むらさきみどり    美声のカナリア

 

ずっとみどり  のんびり屋のカメ… 

 

  妙だ。みどりの立ち位置がブレている。袋の段階では確かにみどりは忌むべき存在として描かれている。その証左に、みどり担当のマスカット君はイラスト中で「何色にかわるかドキドキ…❤️」と発言している。それも笑顔で。これからEカードに挑むカイジを見る利根川と全く同じ嘲笑である。

 だのに個包装では、緑色は「美声のカナリア」を意味する。他の2つに全く見劣りしていない。緑は不幸の象徴ではなかったのか?無論、ずっとみどりの時は「のんびり屋のカメ」。これをアンラッキーと捉えるかどうかは好みが分かれるところがあるが、ただでさえ動きが遅いカメがのんびり屋なのだから10年で1歩歩くくらいの奴なのだろう。もしそうならアンラッキー以外の何物でもない。

 この矛盾に行き当たって、一つの仮説にたどり着いた。

ひょっとして、本当にアンラッキーなのは「緑を引いたこと」ではなく「変化しないこと」なのではないか?と。

人間は、常に変わり続ける生き物である。身体も変わる。いくら10年前の記憶が残っていたとしても、体細胞は時時刻刻と入れ替わってゆく。あなたは、数年前のあなたとは細胞レベルで全く別人だ。環境も変わる。大人になるまで数年周期で入学と卒業を繰り返して、その度ごとに人間関係はがらりと変わる。社会に出てからだって、人生はきっと出会いと別れの連続だ。あなた自身も変わっていく。ふとベッドに横たわった時に嘗ての恥ずかしい思い出がフラッシュバックして悶絶し、もう二度と同じ過ち、具体的には一個上の先輩の補習中の教室に突然入ること、を繰り返すまいと誓う。 では、キャンディーはずっとみどりでいいのか?いい訳がない。むらさきを見ろ。立派な色がついていても恐れず、果敢にその色を変える。もしかしたら、その色を失うかもしれない。変化を拒むみどり、彼の挑戦をあれほど嘲笑ったみどりと同じ色になってしまうかもしれない。だが、彼は変わった。むらさき色はきえちゃっても、彼はたゆまぬ努力で自ら新たなる色への旅路を切り開いた。現状に甘んじて動こうともせず、ただ挑戦するものを嘲笑う、のんびり屋のカメには決して辿り着けない旅路だ。

そう、努力を恐れて変化を望まぬものに幸福など訪れない。きえちゃうキャンディーにはそんな人生の教訓が詰まっている。ああ、僕も変化を恐れていてはいけない。きっと来る新生活に備え、万全の努力で自分を変えよう。その先に新しい地平が待っているはずだから。

 

 

袋をよく見てみると

はじめからきらきら金箔入りのキャンディなら大ラッキー!

個包装の裏には

はじめから…金箔入りのキャンディーなら わ〜い♡運命の出会いがあるかもよ!

変わらなくても評価される奴もいるんですね。クソが